日野原先生で有名な聖路加国際病院の
緩和ケア科の林章敏先生の話を聞きました。
緩和ケアというと、末期のがんのイメージがありますが
今は、痛みを早期からとることで寿命が延びるというように
考え方が変わってきているそうです。
パラレルケアというそうで
がんの治療もいっぱい受けてできるだけ長生きしたいという
希望をかなえるケアです。
「先がけ鎮痛」を言われました。
神経が過敏になって痛みが強くなる、
パジャマがこすっただけでも痛みがでることがあるそうで
その予防としては、早めに痛みをとるということ
我慢すればするほど、痛みが強くなるので
痛みが強くなる前に痛みを抑えることが大切と
それが先がけ鎮痛(痛みを鎮めること)なんですね。
人に対する接し方を練習することもあるみたいで
先生がロールプレイした時に患者役になったそうですが
どんどん落ち込んでいく
落ち込んでいくなかでも妙に安心したことがあり
それは、「目の前にある人がいて聞いてくれる人がいる」
ことだった、と
力になれなかったと思うこともあるかもしれないが
その人とかかわり続けること、
存在し続けることの意味を言われました。
たとえ良くなる希望がないときでも
「それ、なんだかむずかしそうですね」と打ち消さず
「そうですよね、そうできるといいですよね」と希望を支える。
安易な励まし、「そんなこと言わずに頑張れ」と否定せず
「支えになるからね」というような寄り添う姿勢、を学びました。
また、「死を意識しないで過ごせること」を望んでいる人もいる。
死と向き合えない人もいる。
死と向き合うのはつらい。目をそらすことも必要。
緩和医療を専門にしていない人がかかわる時
「自分自身の対応が未熟で不適当と感じ
全てから手をひきたい強い衝動を覚えることさえある」
このような感情は正常なこと。ということです。
だから、事実に関する知識と
優れたコミュニケーションの技術が大切と。
死と向き合うような状態の人と接することもある
私にとって、支えにもなり忘れてはいけないことだと感じました。
最後に「一番心がけていることは何か」という質問に
「早く逝きたいなぁと患者が思わなくてすむこと」と答えられました。
がんの患者さんが安楽死を望まなくてすむように
体の痛みは楽になったけど最後に残るのは心のケア
体の痛みがなくなると心と向き合わなくてはいけなくなる
「早く逝きたいなぁ」
その人が自分を大事にされているんだなぁと思ってもらえるように・・・
とてもやさしそうなお髭の先生でした。